プロバイダ責任制限法
特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダ制限法)5条1項には、「特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者は、当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者に対し、当該特定電気通信役務提供者が保有する当該権利の侵害に係る発信者情報のうち、特定発信者情報以外の発信者情報については第一号及び第二号のいずれにも該当するとき、特定発信者情報については次の各号のいずれにも該当するときは、それぞれその開示を請求することができる。」とあり、インターネットを悪用した権利の侵害に対して加害者を特定するものです。自己の知的財産を他人がSNS等インターネットを介して無断で投稿した場合、投稿者を特定できる条項でして、知的財産と関わりが深い法律です。
この条項(プロバイダ制限法5条)についての判例は下記のとおりです。
「特定電気通信による情報の流通には、これにより他人の権 利の侵害が容易に行われ、その高度の伝ぱ性ゆえに被害が際限なく拡大し、匿名で情報の発信がされた場合には加害者の特定すらできず被害回復も困難になるという、他 の情報流通手段とは異なる特徴があることを踏まえ、特定電気通信による情報の流通によって権利の侵害を受けた者が、情報の発信者のプライバシー、表現の自由、通信の秘密に配慮した厳格な要件の下で、当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者に対して発信者情報の開示を請求することがで きるものとすることにより、加害者の特定を可能にして被害者の権利の救済を図ることにあると解される(最高裁平成21年(受)第1049号同22年4月8日第一小25 法廷判決・民集64巻3号676頁参照)」