のむシリカ
識別力がないとして商標法第3条第1項第3号で需要者の認識を問題とする理由は、「独占適応性の問題だけでなく、一般的に使用される標章であって、多くの 場合、自他商品・役務識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないことにもよるのであるから、本件審決が需要者の認識を問題としたことに何ら不合理な点はない(商標法3条1項3号について需要者の認識も問題となることについて、最高裁昭和60年(行ツ)第68号同61年1月23日第 一小法廷判決・裁判集民事147号7頁参照)。」と判示されています。
「のむシリカ」が識別力がないと判断された審決取消訴訟を紹介します(令和6年(行ケ)第10105号 審決取消請求事件)。
(要旨)シリカは体に欠かせない成分として注目を集め、シリカを含有することをうたう飲料が広く流通し(乙3~12)、また、「飲むミネラル」、「飲むコラ ーゲン」、「飲む高濃度ビタミンC」、「飲むカルシウム」、「飲むヒアルロン酸」、「飲むセラミド」、「飲む乳酸菌」等、「飲む○○」と称する、経口で栄養成分などを摂取できる商品(飲料、サプリメントなど)が広く流通している実情もある(乙13~24)。そうすると、本願商標は、これを指定商品「シリカを含有する飲料水」に使用するときは、需要者及び取引者に、「飲むことができる(経口摂取すること ができる)シリカ」程度の意味を認識させるものであって、単に商品の品質 (摂取方法、成分)を表示するにすぎないものといえる。…「シリカ」が「シリカゲル」の略称として取引者、需要者に認識 されていたことや、「シリカ」が水に不溶であることが取引者・需要者に認 識されていたことを認めるに足りる証拠はない。原告商品を宣伝する業界 誌の記事(甲12。個別に言及する場合を除き枝番を含む。以下、枝番のあ る書証につき同じ。)をみても、「シリカ」と「シリカゲル」の関係につい ても、「シリカ」が水に不溶であることについても言及されておらず、原告 商品におけるシリカが人工的に配合されたものでなく、天然水(ナチュラ ルミネラルウォーター)に由来することを強調しているにとどまる。