エシカル

エシカル(ethical)とは、「倫理的」「道徳上」という意味の形容詞です。今回は、この「エシカル」を「論理的な」と誤って検討して無効審決が取り消された珍しい事例を紹介します(令和7年(行ケ)第10070号 審決取消請求事件)。審判官も人間であって審決に誤記もあるでしょうが、余分な費用を負担して訴訟を起こさなければならなかった点、残念です。

(要旨)本件審決は、その判断部分において、「エシカル」は「倫理的な」等の意味を有すると認定しているものの、その後の「エシカル」の使用例や、本件商標についての検討の場面では、「エシカル」の文字から「論理的な」の意味合いが生ずるとした上で、本件商標の構成全体から「論理的な穀物」ほどの漠然とした意味合いを生ずるなどと認定しており、本件商標の構成から生じる観念を正しく検討していないといわざるを得ない。この点について、被告は、本件審決中の「論理的」との記載は、「倫理的」と記載すべきところを「論理的」と誤って記載したことが明白であり、そのような誤記が数か所みられるとしても、本件審決の結論には影響しないと主張する。しかし、本件審決は、理由の核心部分といえる「当審の判断」部分において、辞書等に載録された意味を引き写す冒頭の部分を除き、全ての箇所において「論理的な」、「論理的に配慮された」又は「論理的な穀物」などと記載しているのであって、これらが審判官による単純な誤記であると即断することはできない。前記のとおり、ある商標がその指定商品について商品の品質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるというためには、当該商標が当該商品に使用された場合における取引者、需要者の一般的認識を検討すべきところ、本件審決は、その検討の前提となる構成から生じる意味を誤っているから、結局は商標法3条1項3号該当性判断の核心部分における検討を誤っているというほかなく、この誤りは結論に影響を及ぼすものというべきである。したがって、本件審決は、商標法3条1項3号該当性の判断に誤りがあって、この誤りは、審決の結論に影響を及ぼすものであるから、本件審決には取り消されるべき違法がある。原告の主張する取消事由には理由がある。

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