キッズ防災士

登録商標 キッズ防災士 (標準文字)として、 第41類 技芸・スポーツ又は知識の教授等を指定役務とした登録商標が、「防災士」の引用登録商標と類似するか否か(商標法4条1項11号)が争われ、非類似と判断された事件を紹介します(令和6年(行ケ)第10096号 審決取消請求事件)。

その他、商標法4条1項6号(公益標章)、商標法4条1項7号(公序良俗違反)、商標法4条1項10号(周知商商標)、商標法4条1項15号(品質誤認)、商標法4条1項19号(図利加害目的)も争われましたが、いずれも無効理由を有さないとして、商標登録が維持されました。

(要旨)ア 外観 本件商標の構成は、前記第2の1⑴のとおりであり、「キッズ防災士」の文字を標準文字で横書きにしてなるものであり、カタカナ3文字、漢字3文字を一連に表記したものである。 イ 称呼 本件商標からは、その構成文字に応じて、「キッズボウサイシ」の称呼が生じる。「防災士」の周知性については上記1のとおりであり、一般の消費者の間においては、広く知られているとは認められず、周知性はない。そうすると、本件商標「キッズ防災士」の構成のうちの「防災士」の部分のみが、その部分の周知性の故に強く支配的な印象を与えるものとは認めら
れず、その他に、その部分が強く支配的な印象を与えるとする理由はない。したがって、本件商標のうち、「防災士」の部分に格別の識別力があるものとは認められず、本件商標は、「キッズ防災士」との一体不可分の構成の商標としてみるのが相当であり、「キッズ」と「防災士」とに分離して観察されるものではないと認められるから、本件商標からは「ボウサイシ」のみの称呼は生じないと解するのが相当である。 ウ 観念 これらの構成文字全体は、「キッズ」「防災」及び「士」の語を、組み合わせた造語であり、「防災」が災害防止を意味し、「士」が資格をもった者を意味するところから、これらの語の意味するところと「子供達」の語とは直ちに結びつくものとはいえず、災害に関連する何らかの資格が連想されはするものの、具体的な意味合いまでは認識できないというべきであるから、本件商標からは、特定の観念が生じるものとは認められない

一般の消費者は、必ずしも商標の構成を細部にわたり記憶して取引に当たるものとはいえないから、一般の消費者が通常有する注意力の程度を踏まえて、本件商標と引用商標の外観、称呼及び観念の要素を総合勘案することとなる。そうすると、本件商標と引用商標は、外観、称呼においていずれも異なる上に、観念においても比較することができないから、一般の消費者の認識において、時と所を異にして離隔的に観察した場合、本件商標と引用商標とは互いに紛れるおそれのある類似の商標であるとは認められない。



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