サービス提供主体の同一性

特許請求の範囲では、同一主体で侵害を構成するように記載しなければなりません。クレーム文言上同一主体か否かを争点として、特許第6128402号の属否が争われた特許侵害訴訟事件を紹介します(令和 5年 (ワ) 70425号 特許権侵害差止等請求事件)。

被告プログラム(GOアプリ)は、アプリケーション提供主体とサービス提供主体とが異なり、請求項8に記載のアプリケーションとサービスとを共に備えたプログラムではないとして非侵害と認定されました。その他、特許請求の範囲に無効理由が存在すると付言されています。

(本件請求項8)A:コンピュータに、所定のアプリケーションを記憶し、 B:前記アプリケーションで提供されるサービスに関する情報を管理し、 C:他の装置から受信した前記サービスを登録するためのデータを取得し、 D:取得された前記データに基づき、前記アプリケーションの処理により前記サービスを登録し、 E:登録された前記サービスに関する情報を生成し、 F:前記アプリケーションによりコマンドが処理されることで生成される前記サービスに関する情報の表示を制御する G:ステップを含む処理を実行させるためのプログラム。

(要旨)本件明細書等のうち、「アプリケーション」と 「サービス」の内容及び関係につき記載した部分(【0012】、【0014】、【0030】)を参酌すれば、「アプリケーション」は、総合サービ スを提供するものであり、構成要件Bにいう「前記アプリケーションで提供されるサービス」は、アプリケーション自体がクレジット機能、クーポン機能その他の機能そのものを提供するものに限られると解するのが相当であるから、タクシー料金の個別の支払ごとにその都度利用されるd払いを含むものではないと解するのが相当である。 したがって、サービスの提供主体の同一性についていう原告の上記主張は、 充足性の判断を左右するものとはいえず、採用することができない。

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