ジムニーファン
「Jimny Fan」の欧文字と「ジムニーファン」の片仮名を2段に書してなり、指定商品(本願補正商品)を第16類「オフロード車の改造に用いる部品及び附属品に関する情報雑誌」とする商標(本願商標)についての拒絶査定不服審判請求を不成立とした審決の取消訴訟を紹介します(令和6年(行ケ)第10007号)。
「ジムニーファン」から成る結合商標は、外観上分離観察する根拠はなく、ニッチなオフロード車の情報雑誌に用いる場合、品質誤認も生じないとして、拒絶審決を取り消しました。必要最小限の指定商品や指定役務にすれば、商標登録が認められる可能性が高まる良い事例です。
(判決要旨)
本願商標は、その外観上、「Jimny」、「ジムニー」の部分と「Fan」、「ファン」の部分を分離して観察する根拠はない。Jimny商標がスズキ社の製造販売するオフロード車の名称を表示するものとして広く知られていたとしても、本願補正商品の取引の実情に鑑みれば、本願商標を使用した本願補正商品に接した取引者・需要者において、スズキ社を含む自動車メーカー又はその系列ディーラー等がその情報雑誌の発行主体となっている(可能性がある)と認識するとは考え難い。そして、本願商標の全体観察を前提に引用商標との比較をすると、引用商標1及び引用商標2のいずれも、本願商標の構成部分である「Fan」及び「ファン」に相当する構成を欠いており、本願商標と引用商標1及び引用商標2は、商標全体としての外観、称呼及び観念が異なっているから、類似性を肯定することはできず、本願商標は商標法4条1項11号に該当しない。
本願補正商品は、第16類「オフロード車の改造に用いる部品及び附属品に関する情報雑誌」という極めてニッチな商品であるところ、スズキ社を含む自動車メーカーが自ら又は系列ディーラー等を通じて、「オフロード車の改造に用いる部品及び附属品に関する情報雑誌」を発行している事実はなく、また、本願商標を使用した本願補正商品に接した取引者・需要者において、スズキ社を含む自動車メーカー又はその系列ディーラー等が発行主体となっている(可能性がある)と認識するとも考え難い。本願商標を本願補正商品に使用したとしても、スズキ社のJimny商標に係る商品・役務との混同を生ずるおそれは認められないというべきであり、本願商標は商標法4条1項15号に該当するものではない。