データ構造の発明該当性

「データ構造」で特許権を取得するためには、特許法第2条第4項に規定された「プログラム(電子計算機に対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう)その他電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるもの」である必要があります。以下の不服審判事件では、「人為的な取決め」を記載したに止まるものであって、「自然法則を利用した技術的思想の創作」ではなく、特許法第29条第1項柱書に規定される「発明」には該当しないと判断されました。「データ構造」が発明と認定されるためには、コンピュータにより処理されるために技術的特徴のある特有のデータ構造である必要があります。

https://tokkyo.shinketsu.jp/originaltext/pt/1411914.html

(理由要旨)コンピュータの処理は、コンピュータが備える「変換部」が特定された処理内容を用いて処理する(構成A1及び構成D2)のであって、補正後データ構造が、コンピュータの処理を規定しているとはいえない。補正後データ構造に含まれる、情報処理に関連するデータ要素である「キー情報」及び「測定データ」は、コンピュータの処理により記憶され、参照され、データ加工される対象となるデータ内容を単に特定しているに過ぎず、それ自体では、コンピュータに対する指令が一の結果を得るように組み合わされたプログラムに類似する性質を有しているとはいえず、すなわち、電子計算機による処理を規定するものであるとはいえない。

(補正後の請求項1)

「(A1)受信部および変換部を備えるコンピュータにより実現される情報処理装置に用いられ、
(A2)前記受信部が受信した生産設備の状態を示す状態データを記憶する
(A)データレイクのデータ構造であって、
(B1)前記状態データの情報種別を示す情報と、当該状態データの前記データ構造のバージョンを示す情報とを含むキー情報を格納する第1領域と、
(B2)前記状態データに含まれる測定データを格納する第2領域と、
(B)を備え、
(B21)前記測定データは、複数の異なる事象を示す情報を含むことができ、
(B22)前記測定データは、前記事象毎に、異なるデータ項目、および当該データ項目の値を含むことができ、
(B23)前記第2領域に構造化用の言語を用いて記述され、
(A)前記データレイクの前記データ構造は、
(C)前記受信部が、
(C1)受信した前記状態データの前記キー情報を前記データレイクの前記第1領域に、当該状態データの前記測定データを前記第2領域に、それぞれ記憶させる処理、
(D)前記変換部が、
(D1)前記データレイクの前記第1領域から読み出した前記キー情報に対応する処理内容であって、前記第2領域に格納されている前記測定データに施す処理内容を特定する処理、
(D2)特定された前記処理内容を用いて前記測定データのデータ加工を行う処理、
(A1)に用いられる、データ構造。」

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