マイ・マネージメント⑥

前回は、開業2か月目以降の「クライアントの信頼を得る」動き方について説明しましたが、今回は、「売上を予測する」方法について記載します。

弁理士業務の売上として依然大きなウエイトを占めるのが行政手続き業務です。その中でも、開業したばかりのときは、外国出願業務や3年後の中間処理業務が生じる種となる新規特許出願の明細書作成業務が大切です。新規特許出願は比較的高額なので、クライアントの経営状況も把握したうえで、クライアントの成長曲線や規模に応じた最適な提案をしていくことが重要です。

新規特許出願は、クライアントにとって効果が直ぐに露呈しない高額な先行投資となりますので、クライアントが特許を取得することで、どう活用していくのかを提案することも大切です。知的財産権のような無形財産は有形財産と異なり、年間販売個数に販売価格から仕入原価等を差し引いた1個当たりの利益を掛け算して収益予測を立てれませんので、クライアントのコア技術を成長させるエンジンとして無形財産を長期的収益源として捉えます。そのために、無形財産を取得することで、コア技術を模倣されることを防止し、コア技術を生かした事業分野への新規参入を防ぐ障壁としなければなりません。

私の場合は、まず、お付き合いが始まったクライアントのコア技術を把握し、周辺特許調査や分析を行い、どのような用途や改良技術であれば、参入障壁を築けるかをクライアントと一緒に検討します。検討している間にも、当然必要な特許出願を行いながら、参入障壁特許を取得するには、年〇〇件の特許出願が必要となるから、弊所の場合は、行政手続き業務に年××円の収入が得られると仮定します。そして、この行政手続き業務が売り上げの8割を占めると仮定して、今年度の売上を予測しています。

次年度以降は、年〇〇件の特許出願を実現しながら、他の領域(コンサルタント業務、係争その他業務)も依頼されるような信頼関係を構築することにより、行政手続き業務のウエイトを下げることで、自ずと売上げが上昇します。この地道な経営を行うことにより、売上が毎年上昇していき、大きな浮き沈みなく、気が付いたら目標が達成できている若しくは目標を大きく上回っているのだと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です