リツイート

ツイッターなどで他人の著作物をリツイートする際には、著作権(複製権、公衆送信権)及び著作者人格権(氏名表示権、同一性保持権)を侵害しないようにする必要があります。今回は、写真にコメントを付してリツイートした行為について争われた損害賠償請求事件を紹介します(令和5年(ワ)第4054号 損害賠償請求事件)。他人の著作物が大部分を占めるリツイートは、引用や時事の事件にあたらず、名誉棄損にも該当すると判断されました。

(要旨)他人の著作物を引用して利用することが許されるためには、引用して利用する方法や態様が公正な慣行に合致したものであり、かつ、引用の目的との関係で正当な範囲内、すなわち、社会通念に照らして合理的な範囲内のものであることが必要である(著作権法32条1項後段)。前記前提事実(第2の1(2))及び証拠(甲1)によれば、本件投稿は本件作品を転載した被告投稿画像(具体的には、本件作品が掲載されたスクリーンショット並びに本件作品1及び本件作品3の各転載画像)及び本件作品に対する被告の感想ないし批評を記載した文「【代/行】彼岸花をとても潰してる..!」から構成されていることが認められるところ、本件投稿は、本件作品に対する被告の感想ないし批評を述べる目的で本件作品を引用したこと自体は否定できないが、本件投稿の大部分は被告投稿画像が占め、上記文は極めて短い文である。そうすると、本件投稿の閲覧者において、本件投稿を見れば本件作品の全体を把握できるようになるものといえ、上記目的との関係において、本件投稿における本件作品の引用の方法ないし態様が社会通念上合理的な範囲内のものであるということはできない

「時事の事件」(著作権法41条)とは、現時又は近時に起こった社会的な意義のある事件・出来事であると解されるところ、本件作品は写真家である原告が公園内において彼岸花を背景に本件モデルを撮影したというものであって、その際、公園内の植生に影響があったかどうかといったことについても、同条の「時事の事件」には該当しない。また、本件投稿は、上記4のとおり、被告の一方的な感想ないし批評であるから、同条の「報道」に該当するということもできない

本件投稿は、被告投稿画像とこれを批評する「彼岸花をとても潰してる」との文を内容とするものであるから、本件モデルが彼岸花を踏んでいるとの事実を摘示するものといえる。そして、本件投稿は、不特定多数の者が閲覧でき、閲覧者は、本件作品の撮影者が彼岸花を踏む態様の撮影手法を採用する者であると認識するのが自然である(現に、本件投稿をリツイートするなどして複数の閲覧者が原告の撮影手法を批判する内容を投稿した(甲19、28))。以上によれば、本件投稿は、本件作品の撮影者である原告の社会的評価を客観的に低下させる行為と認められる。

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