ワインセラーの霜取り

ワインセラーの霜取り制御に関する特許の侵害訴訟事件を紹介します(令和5年(ワ)第70738号 特許権侵害差止等請求事件)。ワインセラーの冷却器に付着した霜を溶かす霜取り機能として、従来加温ヒーターを運転し続けていたのに対し、加温ヒーターを停止した後の冷却器周辺温度が第3の温度に達した場合に、コンプレッサーを再起動する構成により、冷却器を再冷却したときの霜の増殖を回避するものです。この特徴部分を被告製品が備えておらず、相違点が本質的部分であるとして直接侵害も均等侵害も否定され、非侵害と判断されました。

(要旨)原告の実験及び被告の実験の一部(❸のロ号製品)において、加温ヒーターを停止した際の温度よりコンプレッサーを再起動した際の温度の方が高いという結果が得られているが、コンプレッサーの再起動の際の温度はまちまちであり、被告製品の制御部が、加温ヒーターを停止する所定の温度より高い所定の温度に達した場合にコンプレッサーを再起動するという構成要件E3の構成を有することを基礎付けるものとはなっていない。さらに、被告の実験の一部(❸のイ号製品)においては加温ヒーターを停止した際の温度よりコンプレッサーを再起動した際の温度の方が低いから、被告製品が構成要件E3の構成を有することと整合しない。以上によれば、被告製品が本件構成を有しているとは認められないし、被告製品が構成要件E3の構成に相当する構成を有していることを認めることもできない。…本件発明は、霜取り制御の従来技術をワインセラーに適用した場合の、無駄な霜取り運転動作及び冷却器に付着した露の再霜化による冷却器に付着する霜の増殖という課題を解決するため、制御部が、冷却器に霜が付着する可能性のある温度として規定された「第1の温度」以下の場合に、前記加温ヒーターを起動し、加温ヒーターを起動した後の冷却器周辺温度が「第2の温度(「第1の温度」<「第2の温度」)」に達した場合に、加温ヒーターを停止し、さらに、加温ヒーターを停止した後の冷却器周辺温度が「第3の温度(「第2の温度」<「第3の温度」)」に達した場合に、前記コンプレッサーを再起動する構成を解決手段とし、これにより、無駄な霜取り運転動作を回避し、また、冷却器に残存する水滴を減らして冷却器を再冷却したときの霜の増殖を回避するという効果が得られるものである。以上のとおりの本件発明の課題及び解決手段とその効果に照らすと、本件発明の本質的部分(特許請求の範囲に記載された構成のうち従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分)は、制御部が、冷却器に霜が付着する可能性のある温度として規定された「第1の温度」以下の場合に加温ヒーターを起動し、加温ヒーターを起動した後の冷却器周辺温度が「第2の温度(「第1の温度」<「第2の温度」)」に達した場合に、加温ヒーターを停止し、加温ヒーターを停止した後の冷却器周辺温度が「第3の温度(「第2の温度」<「第3の温度」)」に達した場合に、前記コンプレッサーを再起動するという構成を採用することにより、無駄な霜取り運転動作を回避し、また、冷却器に残存する水滴を減らして冷却器を再冷却したときの霜の増殖を回避することを可能とした点にあると解するのが相当である。そうすると、被告製品は、本件発明の本質的部分を共通に備えているとはいえず、前記⑵の相違部分が非本質的部分であるとはいえないから、均等の第1要件を充足しない

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