公序良俗違反ではない商標
世界遺産として登録された遺跡を認識させる商標は、商標法第4条第1項第7号の公序良俗違反として拒絶されます。「LE MONT CARMEL」の欧文字を標準文字で表した商標が拒絶されましたが、不服審判で登録になった事件を紹介します。
「LE」の文字(語)はフランス語の定冠詞であり、また、「MONT」の文字(語)は「山」を、「CARMEL」の文字(語)は「パレスチナの山Carmel。カルメル会修道院。」であり、「LE MONT CARMEL」の文字は、イスラエル国の山である「カルメル山」をフランス語により表記したものです。
「世界遺産として登録されたものは、カルメル山それ自体ではなく、カルメル山西側斜面にある渓谷の洞穴群であり、世界遺産(文化遺産)を指称するものというべき事情は見いだせず、当該世界遺産(文化遺産)を認識させるというべき事情も見いだせない。」
「したがって、本願商標を登録することが、ユネスコやイスラエル国の権威・尊厳を害するとはいえず、世界遺産条約の締約国の国民の感情を害するおそれがあるともいえず、国際信義に反するおそれがあるともいえない。」として、登録審決が出されました。