写真の著作物
著作権法第10条第1項第8号には、写真の著作物が例示されています。ただ、すべての写真が著作物として認められるというわけではなく、思想又は感情を創作的に表現したものが対象となります。今回は、写真の著作物として認められた判決を紹介します(令和4年(ワ)第9461号 削除請求等請求事件)。
(要旨)本件各写真は、賃貸物件の外観・内観及び周辺環境等を撮影したものであること、本件各写真の撮影は、賃貸物件の内容を分かりやすく需要者に伝えるため、明るさや撮影角度等を調整して行われたものであること、本件各写真の中には、対象を広く写真に収めるため、パノラマ写真を撮影できるカメラを利用して撮影されたものも含まれていることが認められる。このような本件各写真の内容や撮影方法に照らすと、本件各写真は、被写体の構図、カメラアングル、照明、撮影方法等を工夫して撮影されたものであり、撮影者の個性が表現されたものといえる。したがって、本件各写真は、いずれも思想又は感情を創作的に表現したものと認められ、「著作物」(著作権法2条1項1号)に該当し、これに反する被告らの主張は採用できない。