千鳥屋

以前、千鳥饅頭のひよこ形状の商標について周知ではないと判断された事例を紹介しましたが、今回は、千鳥屋との屋号が原告「株式会社千鳥屋宗家」の商品等表示として周知ではないと判断された事例を紹介します(令和6年(ワ)第12861号 不正競争行為差止等請求事件)。被告「株式会社千鳥饅頭総本舗」の商品等表示と区分されておらず、専ら原告の商品等表示として機能することはないとして不正競争(不競法2条1項1号)の商品等表示に当たらないとされました。

(要旨) 原告は、昭和61年に:「株式会社千鳥屋」の商号で設立され、原告代表者において、本件事業の近畿地方におけるものを行うこととなった。原告は、平成20年1月に、その商号を「株式会社千鳥屋宗家」に変更し、平成15年と平成20年に原告商標権の登録を受けた。この頃(と思料される。)から現在まで、原告の店舗表示、カタログ、パンフレット等においては、:「千鳥屋」との表示と、「千鳥屋宗家」との表示が混在して使用されている。また、:「千鳥屋」との表示が使用される場合には、「創業寛永七年」との表示や、「大阪本店」との表示を伴ってされることも多くあった。ウェブサイト上のフリー百科事典であるウィキペディア:(令和6年12月時点のもの)においては、「千鳥屋」は、:「福岡県飯塚市を拠点に展開していた和菓子店、および和菓子店から発展した製菓業者グループが用いる和菓子店の屋号」であり、平成30年時点で、原告及び被告を含む4社が「千鳥屋」を屋号として店舗を運営する企業と紹介されていた。

前記認定に前提事実を加え検討すると、原告は、そもそもの事業の系譜が本件事業に一体的に由来するものであって、原告自身、本件事業との連続性を営業上利用しているともいえること、Aの存命中、原告が近畿地方を担当し、他の地域を担当する原告代表者の兄弟等から、互いに干渉させないこととしていたが、かかる約束も、少なくとも被告が本件商品等表示を用いて菓子等の販売を行うことは法的には排除されないものとされていたことが各認められる。そうすると、(原告提出のものを含め本件全証拠を考慮しても): 、「千鳥屋」:との文字で構成され、本件事業の屋号と同じである本件商品等表示は、原告が近畿地方における本件事業を担当することとなった後、現在に至るまで、近畿地方においても、原告及び被告の祖業である本件事業、ないし被告を含む本件事業から生じた事業の総体を示すものとして需要者に認識されることが多分にあるといえる。したがって、本件商品等表示は、近畿地方においても、本件事業ないし本件事業に由来する被告の事業と区分された、専ら原告の商品等表示として機能するものとは認め難い

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