名誉棄損
名誉権侵害による妨害排除請求権は、他人の行為によって自分の権利や生活が妨げられる場合に、その妨害を止めてもらい、必要であれば損害の回復を求めることができる民法の考え方に基づく権利です。今回は、noteへの投稿記事が原告の名誉棄損に当たると判断された事例を紹介します(令和7年(ワ)第70451号 投稿記事削除請求事件)。一旦投稿された記事は拡散される可能性がありますので、名誉棄損で被った損害は計り知れません。
(要旨)ある表現の意味内容が他人の社会的評価を低下させるものであるかどうかは、当該記事についての一般の読者の普通の注意と読み方とを基準として判断すべきであり(最高裁昭和29年(オ)第634号同31年7月20日第二小法廷判決・民集10巻8号1059頁参照)、この理は、本件サイトにおける投稿の内容が他人の社会的評価を低下させるか否かについても、異なるところはない。そして、ある投稿における匿名の人物が原告であると同定できるか否かについても、一般の読者の普通の注意と読み方とを基準として判断すべきである(前掲昭和31年7月20日判決参照)。前記1の認定事実に加え、証拠(甲5、乙1)及び弁論の全趣旨によれば、本件記事の前半部分は、原告がただの学生にすぎないにもかかわらずABEMA Primeに出演したり、公式サイトを立ち上げたりしていることや、番組に出演した際に他の出演者についていけない様子であったことを指摘した上で、金銭を払って有識者として名前を売るというプロデュースのパッケージプランがあり、コネ枠で番組に出演することができるなどと述べるものであり、一般の読者の普通の注意と読み方を基準とすれば、本件記事の前半部分は、原告が、正当な評価や実績によらず、金銭を払ってコネ枠でABEMA Primeに出演したという事実を黙示に摘示したものと認めるのが相当である。そ
して、上記のような摘示事実は、原告がABEMA Primeに出演できるような実績や実力がないのに、不公正な手段を用いて番組に出演したかのような印象を与えるものといえ、原告の資質に関する社会的評価を低下させるものといえる。
これに対し、被告は、本件記事の別表記載No.1の記述はあくまで一般論として記載されているものであるし、本件記事の前半部分には「もちろんAくんは正当な評価や実績で出演したんだと思うよ」という記載もあると指摘して、原告の社会的評価は低下しない旨主張する。しかしながら、本件記事の当該記述部分の前後の文脈を踏まえ、一般の読者の普通の注意と読み方とを基準とすれば、単に一般論を摘示したにとどまるものと解することはできない。したがって、被告の主張は、採用することができない。
なお、被告は、仮に、本件記事が原告の社会的評価を低下させたとしても、意見論評の域を超えるものではなく違法性が阻却される旨主張するものの、本件全証拠をみても、その摘示事実の真実性を裏付ける証拠は一切なく、被告の主張は、採用の限りではない。以上によれば、別表No.1の記述は、名誉毀損に当たるものと認められる。

