品質誤認(商標)
商標法第4条第1項第16号には、商品又は役務の誤認を生ずるおそれがある商標を登録しない旨が定められています。「hololive Indonesia」の文字を標準文字として、第3類、第 9類、第14類、第16類、第18類、第21類、第24類~第26類、第 35類、第41類及び第43類に属する商品及び役務を 指定商品及び指定役務として商標登録出願をし、拒絶査定不服審判にて拒絶審決がだされ、審決取消訴訟でも品質誤認するとして拒絶が維持された事例を紹介します(令和5年(行ケ)第10131号 審決取消請求事件)。
(要旨)①本願商標のうち「hololive」の部分は造語であり自他商品又は自他役務の識別力を有するのに対し、「Indonesia」の部分は、一般に知られた東南アジアの共和国であるインドネシアを意味することは需要者において容易に理解できること、②自他商品又は自他役務の識別力を有する文字と、「インドネシア」あるいは「Indonesia」の文字を組み合わせたものがインドネシアで生産される物又はインドネシアで提供される役務に関して使用されていること、③本願の指定商品及び指定役務には一般消費者が需要者となるものが含まれ、これに対応する商品又は役務でインドネシアで生産等されたもの、ないしはインドネシアに由来するものが我が国で販売ないし提供されていることが認められるのであって、そうすると、本願商標をその指定商品及び指定役務について使用するときは、これに接する需要者は、その構成中の「Indonesia」の文字から、インドネシアで生産又は販売された商品や、インドネシアに関する役務といった商品の品質又は役務の質を通常理解するものというべきである。
一方、本願の指定商品及び指定役務は、インドネシアに関するものに限定されていないから、インドネシアで生産又は販売された商品以外の商品やインドネシアに関する役務以外の役務も含むことになる。
以上によると、本願商標をその指定商品及び指定役務中、インドネシアで生産又は販売された商品以外の商品や、インドネシアに関する役務以外の役務に使用した場合には、商品又は役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、本願商標は、商標法4条1項16号に該当するというべきである。