商品等表示の周知性

不正競争防止法第2条第1項第1号の商品等表示には、周知性の要件が必要となります。「神棚板及び神具セット」の商品等表示(商品の形態)が周知であるか否かが争われた事件(令和 4年 (ワ) 70009号 不正競争行為差止等請求事件)を紹介します。

「商品の形態は、商標とは異なり、本来的には商品の出所を表示する目的 を有するものではないが、商品の形態自体が、特定の出所を表示するに至る場合 がある。商品の形態は、本来的には、商品の出所を表示する目的を有するものではなく、それが特定の出所を表示する「商品等表示」になるのは、商品の形態が 客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有しており(特別顕著性)かつ、 その形態が特定の事業者によって長期間独占的に使用され、又は極めて強力な宣伝広告や爆発的な販売実績等により、需要者においてその形態を有する商品が特 定の事業者の出所を表示するものとして周知になっている(周知性)場合であると解される。」とされています。

令和 4年 (ワ) 70009号 不正競争行為差止等請求事件では、原告神棚板について、各報道や公刊物の記載、展示、販売に よって原告神棚板の特徴①から⑤の組合せが原告の出所を示すものとして需要 者に周知になったとは認められず、また、報道等の回数の少なさや、展示、販 売の際も多種類の商品の一つとして展示、販売されているにすぎないことから も、関係する事情を総合して考慮しても、原告神棚板の特徴①から⑤の組合せが、原告の出所を示す表示として周知になったことはない、とされています。また、原告神具セットについて、各報道や公刊物、展示、販売によ って原告神具セットの各商品の特徴①から⑨やそれらの組合せが原告の出所を示すものとして需要者に周知になったとは認められず、また、報道等の回数の 少なさや、展示、販売の際も多種類の商品の一つとして展示、販売されている にすぎないことからも、関係する事情を総合して考慮しても、原告神具セット の各商品の特徴①から⑨やそれらの組合せが、原告の出所を示す表示として周知になったことはない、とされています。

以上のことから、商品の形態が商品等表示として周知であることの立証は、極めてハードルが高いと考えられます。

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