商品等表示(不競法)

不正競争防止法第2条第1項第1号において商品の形態自体が「商品等表示」に該当するためには、商品の形態が客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有しており(特別顕著性)、かつ、需要者においてその形態を有する商品が特定の事業者の出所を表示するものとして周知になっている(周知性)ことが必要です。今回は、周知性が認められず、不正競争に該当しないと判断された事件を紹介します(令和 5 年(ワ)第 70276 号 不正競争行為差止請求事件)。この周知性の判断は厳しいことから、商品の形態については意匠法で保護を図ることが重要です。

(要旨)原告書籍については、仮に原告主張のとおりシリーズ累計発行部数が 46 万部であったとしても、その需要者が広くノンフィクション・エッセイに関心を有する者であることをも踏まえると、原告書籍それ自体が周知といえるほどの販売実績があるとまではいい難い。その点を措くとしても、その販売期間はシリーズを通算しても 4 年半程度に過ぎず、原告表示につき原告によって長期間独占的に使用されたものとは認められない。また、その宣伝広告の実情等をみても、極めて強力な宣伝広告や爆発的な販売実績等により、需要者であるノンフィクション・エッセイに関心を有する者において、原告表示をもって、これを有する原告書籍の出所が特定の事業者である原告(ないし「原告書籍の発行者」)であることを表示するものとして周知になっていたとは認められない。以上より、原告表示は、一般消費者にとって、原告書籍の出所として原告を表示するものとして周知になっているものとはいえないから、「商品等表示」に該当するとはいえず、また、「需要者の間に広く認識されている」ということもできない。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です