商標の公序良俗違反
商標法第4条第1項第7号には、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標は登録を受けることができない旨が規定されています。この条項は、商標の構成自体が公序良俗違反でなくとも、指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、又は社会の一般的道徳観念に反するような場合も含まれるものと解釈されます。そこで、登録出願の経緯に社会的相当性を欠くとして、取消審決が出された審決取消請求事件を紹介します(令和 6年 (行ケ) 10067号 審決取消請求事件)。
(要旨)原告は、被告がオーストラリアで使用していた被告各商標が我が国において商標登録されていないことを奇貨として、我が国における被告各商標の使用を阻止すること、さらには、被告の日本におけるビジネスを妨害することのみを目的として、被告各商標を剽窃した上、本件商標及び関連原告商標の作成時期を偽り、関連原告商標とともに本件商標の登録を得たものと認めるのが相当であって、このような商標は、登録出願の経緯に社会相当性を欠くものがあるというべきであるから、商標法4条1項7号該当性に関する本件審決の判断に誤りはない。