商標類否判断事例NO.4
左の本願商標と右の引用商標が類似であるとして拒絶査定を受けて不服審判で非類似と審決された事例を紹介します。図形+文字の商標出願において、文字部分に出所識別機能がないことから、図形のみで類否判断された事例です。
(要旨)本願商標を構成する下段の「あずま」の文字は、ありふれた氏と認められる「東」に通じる音を平仮名で表記したものと容易に理解されるものであるため、この部分もまた、自他識別力としての機能を果たさないものであるから、本願商標の構成中の文字部分よりは、出所識別標識としての称呼及び観念を生じないものである。
一方、円図形は、何らかの意味合いを表すものとして認識されるものとはいえないから、これよりは、特定の称呼及び観念は生じないものの、これが、原審補正役務との関係において、出所識別標識としての機能を有さないと判断しなければならない特段の事情はないものである。
そうすると、本願商標は、その構成中の円図形のみを抽出し、引用商標との類否を判断することも許されると判断するのが相当であって、本願商標は、その構成中の「あずま」の文字のみを分離、抽出することができない商標と判断するのが相当である。
したがって、原審補正役務と引用商標の指定役務とが、同一又は類似するとしても、本願商標の構成中の「あずま」の文字のみを分離、抽出し、その上で、本願商標と引用商標とが称呼及び観念を共通にする類似の商標であるとして、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は、取消しを免れない。