商標類否判断事例NO.12

商標権侵害差止請求事件で沢山の商標類否判断がなされた事例を紹介します(令和 4年 (ワ) 11316号 商標権侵害差止等請求事件)。原告商標1と被告標章5は類似するが、その他は類似しないと判断されています。外観の類似性によって類比判断が分かれています。

原告商標:ゴシック体様の片仮名及び平仮名から成る「パクとモグ」 という文字が横書きされた原告商標1、図案化されたゴシック体様の「PaQ to MoG」 という文字が横書きされた原告商標2

被告標章:野菜のイラストのように図案化された「PAKUMOGU」という文字が横書きされた被告標章1、上段に図案化された「PAKU」という文字が横書きされ、下段に同様に「MOGU」という文字が横書きされて、それらが二段に配置された被告標章2、ゴシック体様のアルファベットの「PAKU MOGU」 という文字が横書きされた被告標章3、ゴシック体様のアルファベットの「PAKUMOGU」という文字が横書きされた被告標章4、ゴシック体様の片仮名の「パクモグ」という文字が横書きされた被告標章5、半角のアルファベット、ハイフン及びドットから成る 「pakumogu-mealkit.jp」を横書きした被告標章6、上段に被告標章1と同様に図案化されて着色された「PAKUMOGU」という文字が横書きされ、下段に「子どもたちのおすみつきミールキット」という文字が横書きされて、それらが二段に配置されている被告標章7

(要旨)両者の称呼は、通常比較的弱く聴覚されることが多い 中間音である「ト」が相違するのみであり、「パク」及び「モグ」とい う大部分の称呼が共通していることからすれば、両者の称呼が全体とし て長いものとはいえないことを考慮しても、類似するというべきである。・・・原告商標1の指定役務は、主に菓子の小売又は卸売の業務に おいて行われる顧客に対する便益の提供であり、被告標章1は被告ミー ルキットの提供に係るものに使用されており、いずれも飲食に関して使用されているものであることを併せ鑑みると、原告商標1及び被告標章 1は、いずれも物を食べることを意味する「ぱくぱく」及び「もぐもぐ」 を想起させるというべきである。したがって、両者は同一の観念を想起させるものであるといえる。・・・原告商標1と被告標章5の類否について (ア) 原告商標1は、ゴシック体様の片仮名及び平仮名から成る「パクとモグ」という文字が横書きされたものであり、文字は全て黒色であって、被告標章5は、ゴシック体様の片仮名の「パクモグ」という文字が横書きされたものであり、文字は基本的に黒色である。両者の外観を比較すると、片仮名の「パク」と「モグ」の間に平仮名の「と」が含まれるか 否かという点において相違するものの、その点以外の大部分においては 共通している上、原告商標1において、「と」が他の文字と比べてやや小さく記載されていることも考慮すれば、両者の外観は類似するというべきである。

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