識別力が否定された事例NO.14

拒絶査定不服審判で商標法第3条第1項第3号の識別力がないとして拒絶審決が出された審決取消請求事件を紹介します(令和7年(行ケ)第10025号 審決取消請求事件)。役務の提供の場所及び役務の質(内容)を表示記述するものと一般に認識されるとして識別力が否定されました。

・「沖縄コレクション」の文字を標準文字で表してなる商標について、第35類「広告業等」及び第41類「電子出版物の提供等」に属する指定役務

(要旨)本願商標を構成する「コレクション」は、一般に「有名デザイナーなどの発表する、そのシーズンの一連の新作の発表会」を意味するものとして使用されることがある語であって、これと代表的な開催地の地名を結び付けた「パリコレクション」などの語は、その地で開催されるファッションウィークの日本国内における呼び名として、ファッションに関係する役務の取引者、需要者に広く知られていると認められる。加えて、本願商標の指定役務に係る商品展示会等又は興行の開催等に含まれる、ファッションショーやファッションショーを模した企画を含むイベント(商業目的のもの、商業目的以外のもの)については、開催地の地名に続けて「コレクション」の文字を組み合わせた名称が広く用いられており、新聞等においても、これらのファッションショーやイベントが当該名称とともに報道されている。その他、特定の地域で開催されたファッションショーについて、開催地の地名に続けて「コレクション」の文字を組み合わせた略称が、記事中で用いられている実情が認められる。このような本願商標の構成文字の語義及び本願の指定役務に関する取引の実情を踏まえると、本願商標「沖縄コレクション」は、その指定役務に含まれるファッションショーや、ファッションショーの要素を伴うイベントの企画、運営、開催について使用された場合、本願商標の指定役務である商品展示会等又は興行の開催等の取引者、需要者に、「沖縄で開催される、ファッションショー又はファッションショーを模した企画を含むイベント」という、役務の提供の場所及び役務の質(内容)を表示記述するものと一般に認識されると認められる。このような本願商標は、ファッションショーや、ファッションショーの要素を伴うイベントの企画、運営、開催に係る役務の取引に際し、役務の特徴(特に提供の場所及び役務の内容)を表すための必要適切な表示として、何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認める5 のを公益上適当としないものであるとともに、多くの場合自他役務識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることが明らかである。そうすると、「沖縄コレクション」を標準文字で表した本願商標は、少なくともその指定役務に含まれるファッションショーや、ファッションショーの要素を伴うイベントに係る役務につき、当該役務の特徴を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法3条1項3号に該当する。

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