商標類否判断事例NO.18

本件商標2は、「バレない」の文字列及び「ふたえ」の文字列を上下2段に配してなるもので、「化粧品」を指定商品とした本件商標が、侵害訴訟で被告標章と非類似であると審決され、控訴事件でも非類似と判断された事例を紹介します(令和5年(ネ)第10011号 商標権侵害行為差止等請求控訴事件)。取引の実情を考慮した結果、外観の異同が、それらの称呼及び観念の異同と比べ、より需要者に対し強く支配的な印象を与えるため、外観非類似のため非侵害と判断されています。

(要旨)取引の実情に照らすと、本件商標と被告標章の類否の判断においては、商品(本件化粧品)又はその包装等において具体的にされている出所識別標識の外形的な表示の態様、すなわち当該出所識別標識(商標)の外観の異同が、それらの称呼及び観念の異同と比べ、より需要者に対し強く支配的な印象を与えるものとして相対的に重要になるものと解される。

本件商標2は、片仮名の「バレ」及び平仮名の「ない」を横書きにして上段に配した上、平仮名の「ふたえ」を横書きにして下段に配してなり、上段の文字列(4 文字)と下段の文字列(3文字)の幅は、下段の方が僅かに大きく、また、下段に配された「ふたえ」の各文字は、上段に配された「バレない」の各文字よりも大きく、太めである(なお、各文字に付された色彩は黒である。)。これらにより、下段の「ふたえ」の文字列は、上段の「バレない」の文字列と比較して、看者に対し強い印象を与えるといえるから、下段の「ふたえ」の文字列は、本件商標2の構成の中で、看者の注意をより強く引く部分であるということができる。被告標章は、片仮名の「バレナイ」を横書きにして上段に配した上、漢字の「二重」を横書きにして下段に配してなり、上段の各文字と下段の各文字の大きさ及び太さが余り変わらないため、上段の文字列(4文字)の幅は、下段の文字列(2文字)の幅の1.5倍程度となっている。また、下段冒頭の「二」の2画目の左の先端には、まつ毛に見立てたようなデザイン化が施されている(なお、被告標章1の各文字に付された色彩はピンクであり、被告標章2の各文字に付された色彩は黄である。)。このように、本件商標2の中で看者の注意をより強く引く部分である「ふたえ」の文字列とこれに対応する被告標章の下段である「二重」の文字列は、単に仮名の文字種(平仮名か片仮名か)において相違するだけではなく、仮名と漢字という文字種についてのより大きな相違を有すること、両商標の上段についても、本件商標上段の「バレない」の後半2文字が平仮名であることにより、4文字の全てが片仮名である被告標章の上段の「バレナイ」と比較してより柔らかい印象を与える
こと、本件商標2の上下段の各文字列の幅が僅かに異なる程度であるのに対し、被告標章の上段の文字列全体の横幅は、下段の文字列全体の横幅の1.5倍程度であり、その結果、本件商標2の各文字が比較的まとまった印象を与えるのに対し、被告標章の各文字は、ややばらばらの印象を与えること、その他、上記のとおりの本件商標2と被告標章の差異を併せ考慮すると、本件化粧品について使用される本件商標2と被告標章は、看者である需要者にとって、外観において相紛らわしくない程度に相違すると評価するのが相当である。

本件商標と被告標章は、これらから生じる称呼及び観念をいずれも同一にする一方、これらの外観は、看者である本件化粧品の需要者にとって相紛らわしくない程度に相違するところ、前記アにおいて説示したところも踏まえ、これらの事情を総合して全体的に考察すると、本件商標と被告標章については、これらが同一の商品(本件化粧品)について使用された場合であっても、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあると認めることはできないから、少なくとも本件化粧品に使用される限りにおいては、被告標章は、本件商標に類似するとはいえないと評価するのが相当である。

本件商標の使用態様

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