商標類否判断事例NO.19

「VENTURE」の文字を標準文字として、第25類「被服」その他を指定商品とした本件商標は、引用商標と類似であるとして拒絶審決され、審決取消訴訟で非類似と判断された事例を紹介します(令和5年(行ケ)第10063号 審決取消請求事件)。引用商標は結合商標であり、分離観察することで、本件商標部分が要部でないとして非類似と判断されています。

(要旨)引用商標は、「遊」の文字部分と「VENTURE」の文字部分からなる結合商標であり、原則として全体観察をすべきことは前述のとおりであるが、上記各構成部分を比較すると、文字の大きさの違いからくる「遊」の文字部分の圧倒的な存在感に加え、書体の違いからくる訴求力の差、全体構成における配置から自ずと導かれる主従関係性といった要素を指摘することができ、称呼及び観念において一連一体の文字商標と理解すべき根拠も見出せない等の事情を総合すると、引用商標に接した取引者、需要者は、「遊」の文字部分と「VENTURE」の文字部分を分離して理解・把握し、中心的な構成要素として強い存在感と訴求力を発揮する「遊」の文字部分を略称等として認識し、これを独立した出所識別標識として理解することもあり得ると解される。他方、「VENTURE」の文字部分は、商標全体の構成の中で明らかに存在感が希薄であり、従たる構成部分という印象を拭えず、これに接した取引者、需要者が、「VENTURE」の文字部分に着目し、これを引用商標の略称等として認識するということは、常識的に考え難い。したがって、「VENTURE」の文字部分を引用商標の要部と認定することはできないというべきである。本件審決の判断中、「遊」の文字部分と「VENTURE」の文字部分との分離観察が可能という点は正当であるが、「VENTURE」の文字部分を要部と認めた部分は是認できない。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です