識別力が否定された事例NO.22
「睡眠改善メソッドの文字を標準文字として、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授、セミナーの企画・運営又は開催、電子出版物の提供、教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)、興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。)」を指定役務とした本件商標の識別力が否定された事例を紹介します(令和5年(行ケ)第10051号 審決取消請求事件)。
(要旨)「睡眠改善メソッド」の語に係る取引の実情によれば、本願商標が本願指定役務に用いられることによって、睡眠を改善する方法の教授、睡眠を改善する方法のセミナーの開催、睡眠を改善する方法に関する電子出版物の提供などが行われることを意味し、ひいては当該役務の取引者、需要者が求める特性に合致し満足を与えることを含意するものともいえるから、仮に役務の「質」の解釈に関する原告の主張を前提としても、本願商標は役務の「質」を普通に用いられる方法で表示する標章に当たると解することができる。
原告は、「役務の質」の判断手法に関する被告の主張を採用すれば、「医業経営コンサルタント」及び「獣医療コンサルタント」という商標は、いずれも「役務の質(内容)」を普通に用いられる方法で表示する標章に該当するものとして登録されなかったはずであるが、これらの商標はいずれも登録されており、被告の主張する判断手法は誤りであると主張する。しかし、商標登録の可否は、商標の構成、指定役務、取引の実情等を踏まえて、具体的な実情に基づき商標ごとに個別に判断すべきものであって、原告が指摘する商標が登録されていたとしても、本願商標が当然に登録される
べきものと解することはできず、本願商標が本願指定役務について役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であることを否定する理由とはならない。
その指定役務のうち「睡眠を改善する方法を提供する、睡眠に関する役務」以外の指定役務に対して使用された場合には、役務の質の誤認を生ずるおそれがある。

