商標類否判断事例NO.5
上の本願商標と下の引用商標が類似であるとして拒絶査定を受けて不服審判で非類似と審決された事例を紹介します。ロゴの商標出願において、特定の文字部分に出所識別機能がないことから、結合商標を考慮して類否判断された事例です。
(要旨)本願商標の構成中「DESIGN WORKS」の文字は、「デザイン制作所」や「デザイン事務所」ほどの意味合いを認識させるとともに、デザインに関連する業務を行う事業者において「DESIGN WORKS」の語(文字)が使用されている実情も認められるから、当該「DESIGN WORKS」の文字は、商品の出所識別標識として機能がさほど強くないといえる。
そうすると、たとえ、本願商標の構成中の「DESIGN WORKS」の文字部分が、その上下の文字に比して大きく書されていることを考慮しても、本願商標に接する取引者、需要者が、殊更、図形、「KiMURA」及び「for Entertainment」の文字を捨象し、「DESIGN WORKS」の文字のみをもって取引に資するとみなければならない事情は見いだせない。
他に、本願商標の構成中「DESIGN WORKS」の文字部分が独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすというべき事情も見いだせない。
してみれば、本願商標の構成中「DESIGN WORKS」の文字部分を分離抽出し、これを前提に、本願商標と引用商標とが類似するとした原査定の判断は、妥当なものとはいえない。
その他、本願商標と引用商標とが類似するというべき事情は見いだせない。
したがって、本願商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否について検討するまでもなく、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は、取消しを免れない。