商標類否判断事例NO.7
「ちょこっとリモコン」の文字を標準文字で表してなり、第9類「遠隔監視制御装置,電気通信機械器具」を指定商品とした本願商標が、拒絶査定を受けて不服審判で非類似と審決された事例を紹介します。「ちょこっと」の文字を標準文字とした引用商標に対し、本願商標から「ちょこっと」の文字部分を分離、抽出するものではなく、識別力が弱いものどうしが結合した結合商標であると判断された事例です。
(要旨)本願商標の構成中、「リモコン」の文字が商品の普通名称又は品質を表すものであって、自他商品の識別標識としての機能がないか弱いとしても、「ちょこっと」の文字部分も、「少しばかり」ほどの意味が辞書等に載録された既成語であって、本願商標において、強く支配的な印象を与えるものとはいい難く、自他商品の識別標識としての機能がさほど強いとはいえないものである。
このように、自他商品の識別標識としての機能が弱いもの同士からなり、かつ、よどみなく一連に称呼し得る商標においては、その構成中のいずれかの文字のみに着目され、記憶されることはなく、構成全体が不可分一体のものとして取引者、需要者に認識されるとみるのが相当である。
そうすると、本願商標に接する取引者、需要者は、本願商標の構成文字全体をもって、一体不可分のものと認識、把握するものとみるのが相当であるから、本願商標は、その構成文字に相応して「チョコットリモコン」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
してみると、本願の指定商品が、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品であるとしても、本願商標の構成中、「ちょこっと」の文字部分を分離抽出し、これを前提に、本願商標と引用商標とが類似するとした原査定の判断は、妥当なものとはいえない。