均等侵害(意識的除外)について

特許侵害事件で特許請求の範囲の文言上、構成要件の一部が異なっている場合でも、異なる部分が本質的部分でない等の5要件を充足すれば、均等侵害に該当します。均等侵害第5要件、意識的除外にあたるとして非侵害と判断された事件を紹介します(令和 5年 (ワ) 10237号 特許権侵害差止等請求事件)。

拒絶査定不服審判で明確性・進歩性違反を解消するために補正した部分が被告製品との差異部分であるため、非侵害となりました。補正をする際、侵害製品が予め分かっている場合は、不要な限定を避けながら、拒絶査定を解消する上で最小限の補正をするという方策が重要です。

(判決要旨)

進歩性欠如及び明確性要件違反を指摘されたことから、拒絶査定を回避するため、現在の特許請求の範囲の請求項1の記載のとおりに限定したのであり、限定により除外された部分は、いずれも本件特許 の特許請求の範囲から意識的に除外したものであることが認められる。そうすると、被告製品と本件特許の特許請求の範囲の請求項1の記載との相違点は、いずれも原告が意識的に除外した部分に該当するから、均等侵害に関するその 余の原告の主張を前提としても、対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情もないときとの第5要件を満たさないというべきである。

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