実施料相当額

特許法第102条第3項には、「侵害者に対して特許発明の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する金銭を請求できる」という実施料相当額を損害賠償額に含める規定があります。この実施料相当額が特許法第102条第2項と重畳適用された事例を紹介します(令和3年(ワ)第29254号 特許権侵害損害賠償請求事件)。工学一般の実施料率は3.5~9.5%であり、代替可能性等を考慮してライセンス料を算定する際の参考になります。

(要旨)本件特許についての実際の実施許諾契約の実施料率は本件訴訟に現れていないところ、「知的財産の価値評価を踏まえた特許等の活用の在り方に関する調査研究報告書」(帝国データバンク・平成22年。乙32の11頁)によれば、工学一般の実施料率については、平均値が3.3パーセント、最大値が9.5パーセントであり、器械の実施料率については、平均値が3.5パーセント、最大値が9.5パーセントである。また、「特許権等の実施料相当額算定手法について」(日本知的財産仲裁センター実施料判定プロジェクトチーム・平成30年。乙32)によれば、「トンネル断面のマーキング方法」の実施料率が3パーセントとされた例がある。そして、本件発明は、仮設防護柵の構成全体に関わるもので、仮設防護柵の基礎内部空間をガードレールの収容に有効に活用させることに着目し、組立作業の効率を向上させ、施工現場での仮設防護柵の置き場所不足を解消し、材料の痛みを防ぎ、運搬コストを低減する効果を有するから(甲2【0003】【0004】【0033】)、相応の重要性を有するもので、本件侵害期間に代替技術が存在していたことはうかがわれない。本件発明は、侵害行為による利益に貢献するものであるが、被告製品の貸渡しは本件工事の請負に付随して行われていたため(前提事実⑷)、被告製品の貸渡しに関する顧客の動機の形成に対する本件発明の寄与は限定的であるといえる。また、大都技研と被告は競業関係にあり、大都技研は原告ら以外の者に対して本件特許権の実施を許諾するつもりがなく、許諾したこともなかった(甲17)。以上のとおりの業界における実施料の相場、本件発明の技術内容や重要性、代替可能性、売上げ及び利益への貢献や侵害の態様、特許権者と侵害者との競業関係や特許権者の営業方針等、本件訴訟に現れた諸事情を考慮すると、本件特許権の実施に対して受けるべき料率は、6パーセントと認めるのが相当である。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です