審決取消訴訟(特許)

日本で権利化された特許権を無効にする方策の一つとして、無効審判があります。この無効審判の審決に異議がある場合、審決取消訴訟を提起することができます。日本における審決取消訴訟の成功率は非常に低いのですが、有効審決が取り消された事件(令和5年(行ケ)第10084号(第1事件)、同第10089号(第2事件))を紹介します。

「電動式衝撃締め付け工具」の発明について、進歩性が否定され、有効審決が取り消されたことから、引例同士を組み合わせる動機付けについて特許権者側に不利に働いており、進歩性に関する日本の審査も厳しくなる傾向が伺われます。相違点が複数ある場合、それぞれ独立して検討するか、一体的に検討するかについて、下記のような判断がなされています。

『電動モータに使用される磁石がどのように保持されているかという問題は、電動モータの型式如何にかかわらず独立して検討対象となり得るものである。したがって、本件訂正発明1と甲2発明との相違点を認定するに当たり、電動モータに関し、ステータと磁石を保持するロータとの位置関係による型式(インナモータ型とアウタロータ型)の相違点Ⅰと、電動モータの型式に関わらない事項である磁石を保持する具体的な態様に関する相違点Ⅱを区別して認定することは可能というべきである。』

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