拒絶査定書の理由欄の記載
特許請求の範囲の1つでも拒絶理由が解消されなければ、他の請求項の拒絶理由が解消したか否かの理由を述べなくても拒絶査定となります。これは、下記の判例に基づいて適法ですので、他の請求項について権利化を目指すなら分割出願をするしかありません。
特許法は、一つの特許出願に対し、一つの行政処分としての特許査定又は特許審決がされ、これに基づいて一つの特許が付与され、一つの特許権が発生するという基本構造を前提としており、請求項ごとに個別に特許が付与されるものではない。このような構造に基づき、複数の請求項に係る特許出願であっても、特許出願の分割をしない限り、当該特許出願の全体を一体不可分のものとして特許査定又は拒絶査定をするほかなく、一部の請求項に係る特許出願について特許査定をし、他の請求項に係る特許出願について拒絶査定をするというような可分的な取扱いは予定されていない。このことは、特許法49条、51条の文言のほか、特許出願の分割という制度の存在自体に照らしても明らかである(最高裁判所平成20年7月10日第一小法廷判決・民集62巻7号1905頁参照)。