指定商品における需要者の範囲

指定商品の類似性判断については、下記のような規範があります。

「商品自体が取引上誤認混同のおそれがあるかどうかにより判定すべきものではなく、それらの商品が通常同一営業主により製造又は販売されている等の事情により、それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがあると認められる関係にある場合には、たとえ、商品自体が互いに誤認混同を生ずるおそれがないものであっても、類似の商品に当たると解す るのが相当である」(最高裁判所昭和33年(オ)第1104号同36年6月2 7日第三小法廷判決・民集15巻6号1730頁)。

令和 6年 (行ケ) 10051号 審決取消請求事件では、本願の第9類「音楽・映像データの取り込み・再生 用ディスクドライブ」の指定商品が、引用商標の指定商品、第9類「ウエイトトレーニング機械器具で測定された負荷重量・マシーンの変位量・回動数・回動スピードのうち いずれか一以上の値を受信して表示するデータ処理装置、運動用トレッドミ ルで測定されたローラーベルトの傾斜角度・走行距離・運動経過時間・平均 走行速度・消費カロリ・利用者の体重・歩数・歩幅・ピッチ・心拍数のうちいずれか一以上の値を受信して表示するデータ処理装置」 と類似すると判断されました。

(判決の要旨)

原告は、本願指定商品の需要者の範囲は、一般家電需要者であるのに対し、引用商標データ処理装置の需要者の範囲は、主に運動用機械の使用施設を運営する専門的知見を持つ事業者等であるから共通せず、引用商標ソフトウェアの需要者の範囲は、広く一般消費者のほか特定分野の専門家又は事業者等であるから、一部共通しても一致しないなどと主張する。しかしながら、引用商標データ処理装置が、専門的知見を持つ事業者により利用されている実情があるとしても、前記のとおり、一般消費者においても利用されている実情にあるから、需要者の範囲に係る原告の主張は、利用態様の一部をいうにとどまる。また、引用商標ソフトウェアについては、原告においても、需要者の範囲に一般消費者が含まれることを認めるのであるから、本願指定商品の需要者の範囲と共通するものと認めるのが相当である。そして、このように本願指定商品、引用商標データ処理装置及び引用商標ソフトウェアの需要者にはいずれも一般消費者が含まれていると認められる以上、これらの商品やソフトウェアには需要者の共通性が認められるというべきである。原告の主張を採用することはできない。

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