指定商品の類否判断

今回は、第5類「サプリメント」と第3類「化粧品」とが類似するか否かが争われた事件を紹介します(令和5年(行ケ)第10108号 審決取消請求事件)。本件商標の指定商品のうち第5類「サプリメント」と、使用商標が用いられている商品のうち「化粧品」とは、これらの商品に同一又は類似の商標を使用する場合に、同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがあるとは認められず、商標法4条1項10号にいう「類似する商品」に当たるとは認められないとされました。

指定商品が類似のものであるかどうかは、それらの商品が通常同一営業主により製造又は販売されている等の事情により、それらの商品に同一又は類似の商標を使用する場合には、同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがあると認められる関係があるか否かによって判断するのが相当である」とされています。(最高裁昭和33年(オ)第1104号昭和36年6月27日第三小法廷判決・民集15巻6号1730頁)

(要旨)「サプリメント」は、人体に欠乏しやすいビタミン・ミネラル等の栄養素を経口投与によって体内に摂取するための食品であり、その使用の目的は健康の保持増進にあると認められる。これに対し、「化粧品」は、身体に対して塗擦、散布等をする方法で使用するものであり、その使用の目的は人の身体を清潔にし、美化し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つことにあると認められるから、「サプリメント」と「化粧品」とはその使用方法及び使用目的の根本的部分において明確に異なっていると認められる。

「サプリメント」と「化粧品」については、これら双方を製造する会社及び双方を販売する会社が複数存在することは認められるものの(甲13の1・20 2、14の1~13、甲20の1~72)、通常同一の営業主により製造又は販売されているとの事情があるとは認められない。また、「サプリメント」が経口投与によって体内に摂取する方法で使用し、「化粧品」が身体に塗擦、散布等をする方法で使用するという違いがあることからすれば、「化粧品」には経口投与による体内への摂取には適しない成分を使用することも可能であると認められ、「サプリメント」と「化粧品」について、同一の成分を含む商品が存在するとしても、その原材料が通常一致するといった関係にあるとは認められない。需要者については、それぞれの使用目的から、「サプリメント」の需要者は健康の保持増進に関心のある一般消費者であり、「化粧品」の需要者は身体を清潔にし、美化し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つことに関心のある一般消費者であって、これらは一部において一致すると考えら
れるが、完全に一致するとは認められない

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