新規性喪失の例外適用

新規性喪失の例外手続きは、公開に至った事実を漏れなく提出しなければなりませんが、同一人が複数の媒体(WEBやSNS)に公開した事実を全て記載するのは現実的ではありません。そこで、意匠の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための手続が緩和されました(令和6年1月1日施行)。ただし、類似判断について非類似と判断されると新規性喪失の例外規定の適用を受けることができませんので、公開の事実はできる限り提出すべきであると思われます。

この緩和規定に準ずる判断がなされた拒絶査定不服審決を紹介します。

(要旨)同一人が、様々なウェブサイトやSNSを利用して商品等を広告掲載することは通常行われているところであるが、審判請求書における、引用意匠は、証明書の「公開の事実」に紐付けられるものであるとの主張は、客観的に見て、合理性があるものと認められ、これを否定する理由はない。そうすると、引用意匠は、証明書記載意匠と同一であり、意匠登録を受ける権利を有する者の行為に起因して意匠法3条1項1号又は2号に該当するに至った意匠であり、かつ、本願がその該当するに至った日から1年以内に意匠登録を受ける権利を有する者がした意匠登録出願である事実が認められるから、引用意匠についても、証明書記載意匠と同様に、本願意匠の新規性の判断資料から除外されるべきものである。

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