普通に用いられる方法で表示する標章
商標法第3条第1項第3号の規定にある「商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」は、商標登録が認められません。
登録第6553639号商標の商標登録に対する登録異議の申立て事件で、「サーフィン用ウェットスーツ,水上スポーツ用ウエットスーツ,ウェットスーツ(潜水用のものを除く。),水上スポーツ用特殊衣服」を含む第25類及び第24類を指定商品とした「タッパー」の標準文字からなる登録商標が取り消されました。その理由は以下の通りです。サーフィンをしない私にとっては「タッパー」と聞くとプラスチック容器を想起しますが、需要者の間では「上半身だけのウエットスーツ」として普通に用いられているようです。
(取消理由)「タッパー」の語は、「タッパーウェアの略。食品を保存するための、プラスチックの密封容器。商標名。」を意味する語(出典:「広辞苑第7版」岩波書店)であるが、「タッパー」の語は、本件商標の登録査定時に、ウェットスーツの種類の一つである「上半身だけのウエットスーツ」の商品名を表すものとして、雑誌、新聞及びウェブサイト等で紹介されており、実際に「タッパー」と称した「上半身だけのウエットスーツ」が販売されている事実が確認できる。そうすると、「タッパー」の文字よりなる本件商標を申立対象商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「上半身だけのウエットスーツ」であると認識し、その商品の品質等を表示したものと理解するにとどまるとみるのが相当であるから、本件商標は、商品の品質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と認められる。