特許無効審判における技術的意義

特許無効審判は当事者対立構造を取りますので、特許権者A社 VS 特許を潰したいB社との争いとなります。このため、侵害訴訟と並行して無効審判を請求することが多いです。今回は、電子マネー送金方法の特許請求の範囲に記載された用語「証明情報」の技術的意義が判決に大きく影響した有効審決が取り消されなかった事例を紹介します(令和 5年 (行ケ) 10105号 審決取消請求事件)。

特許請求の範囲の用語の技術的範囲(技術的意義)は、明細書等の記載が参酌されます(特許法第70条第2項)。潰されにくい特許とするには、特許請求の範囲に記載の文言がどのような意味なのかを明細書に記載しておくことが重要です。

(要旨)本件発明2の「証明情報」は、ユーザ端末から発行の要求を受けて管理サーバで又は電子証明書発行業者へ依頼して作成される情報であり、認証のためのデジタル署名や公開鍵等を有する電子証明書のような利用者及び/又は利用者端末を証明する情報であるという技術的意義を有するものと認められる。 そうすると、「証明情報」は、「端末A(又は端末B)の製造ID」のよう に端末A、端末Bに固有の情報である「個体情報」や、 「ユーザA(又はユー ザB)のログインID」 「パスワード」 「メールアドレス」 「電子マネー口 、、、 座番号」とは異なる情報であるといえる。

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