特許請求の範囲の明確性について
最近、拒絶理由において明確性違反やサポート要件違反が多い傾向にあります。審査段階、審判段階共に明確性違反で拒絶され、その拒絶審決が取り消された審決取消訴訟事件を紹介します(令和 6年 (行ケ) 10023号 審決取消請求事件)。
特許請求の範囲で、特定の構成を備えていてもいなくても良い場合、「~可能な」という表現を用います。その表現が明細書の記載から明確であると判断されました。特許請求の範囲で特定の構成を備えていてもいなくても良い場合は、実施形態に、特定の構成を備えている場合と備えていない場合の実施形態を加えておく必要があります。
(判決要旨)
本件補正発明の「決済以外の用途において適用可能な情報処理端末であって、」との記載は、非決済専用端末のみならず決済・非決済 共用端末を含むものと解される。このことは、本願明細書において、発明の課題及び効果は「決済以外の用途において適用可能な情報処理端末」の提供であるとされた上で(【0005】、【0007】)、最初の実施例として決済・非決済共用端末の例が記載されていること(【0011】以下)及びほかの実施例として非決済専用端末の例が記載されていること(【0072】)を参酌すれば、さらに明らかであり、少なくとも、本件補正後の特許請求の範囲の記載が第三者の利益を不当に害すほどに不明確ということはできない。