特許請求の範囲の解釈

特許法第70条第1項には、「特許発明の技術的範囲は、願書に添付した特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならない」と規定されていますので、侵害事件において特許請求の範囲の記載に基づいて対比判断されます。特許請求の範囲の用語の解釈にあたっては、明細書や図面を参酌されます(特許法第70条第2項)。ですので、特許請求の範囲に余計な限定をいれすぎないことが重要でして、その点が明示された判決(令和 6年 (ネ) 10019号 損害賠償請求控訴事件)の一部分を下記に紹介します。

「特許発明の技術的範囲は、飽くまでも「特許請求の範囲の記載 に基づいて定めなければならない」(特許法70条1項)のであり、明細書 の記載内容は、特許請求の範囲に記載された用語の意義を明らかにする限度 で考慮されるにすぎない(同条2項)。明細書の記載を考慮するという名の下に、特許請求の範囲に記載されていない事項を特許発明の技術的範囲に取 り込むような同条2項の拡張解釈(技術的範囲の限定解釈)は、「特許請求 の範囲」と「明細書(発明の詳細な説明)」の役割分担を無視するに等しく、許されない。

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