発信者情報開示請求
複製動画ファイルを自己の端末にダウンロードしてアップロードする行為は、著作権(複製権、公衆送信権)の侵害にあたり、発信者の情報開示請求を行った事件を紹介します(令和6年(ネ)第10050号 発信者情報開示請求控訴事件)。プロバイダ責任制限法5条 1 項1号の「権利が侵害されたことが明らかである」との要件を充足する事実があれば、発信者情報開示請求が認められますが、下記の理由により認められませんでした。
(判決要旨)
本件発信者らとの間で PIECE(subpiece)通信が行われ、動画ファイルのピースをダウンロードするとともに、同通信開始時点のタイムスタンプや保有するピースの数等がデータベースに記録されるところ、このダウンロードされた各動画ファイルのピースは、原告において再生することができなかったというのである。そうすると、PIECE(subpiece)通信を経て本件発信者らからダウンロードした動画ファイルのピースが本件動画の複製物であることについては疑義があり、ダウンロード元である本件発信者らの端末において、本件動画の複製物が複製されて保管され、送信可能化されていたか否かについても疑義が残ることになるから、原告提出の各証拠(甲1から14まで)をすべて考慮しても、本件については、プロバイダ責任制限法5条 1 項1号の「権利が侵害されたことが明らかである」との要件を充足する事実を認めるに足りない。