登録商標の使用
商標法第50条第1項には、下記の通り不使用取消審判の条項があります。通常実施権者の使用が、商標権者の出所識別機能を果たさなくても、商標的使用であれば足りるとして使用が認められた事件を紹介します(令和 6年 (行ケ) 10087号 審決取消請求事件)。
『継続して三年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが各指定商品又は指定役務についての登録商標の使用をしていないときは、何人も、その指定商品又は指定役務に係る商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。』
(要旨)原告は、乙2製品の販売は、本件商標とは無関係なメーカーの出所を特定 し、販売するものであり、また、商標使用の効果を原告に帰属させるものであるから、商標法50条の「登録商標の使用」にいう出所表示機能を発揮する態様での商標の使用ではないなどと主張する。
しかし、商標法50条の趣旨は、登録された商標には排他独占的な権利が 発生することから、長期間にわたり全く使用されていない登録商標を存続さ せることは、当該商標に係る権利者以外の者の商標選択の余地を狭め、国民一般の利益を不当に侵害するという弊害を招くおそれがあるので、一定期間使用されていない登録商標の商標登録を取り消すことを認めたものである。
そうすると、商標法50条所定の「使用」は、当該商標がその指定商品又は 指定役務について商標として使用されていれば足り、その商標としての使用 が商標権者を商品の出所として表示する場合に限定されるものではないというべきである。そして、前記の中島工機による乙2製品の譲渡販売行為では、指定商品で ある金属製金具の譲渡販売において、譲渡販売対象が「アンブラコ」という 商品であることが取引書類に記載されるとともに、本件商標の付された包装箱に梱包された製品が納入されているのであるから、本件商標の通常使用権 を有する中島工機においては、その指定商品について、商標法50条所定の「登録商標の使用」をしたものというべきである。