秘密管理性

不正競争防止法2条6項には、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものを「営業秘密」と定義しています。ですので営業秘密には、秘密管理性、有用性、非公知性が求められます。今回は、秘密管理性が認められなかった裁判例を紹介します(令和5年(ワ)第12771号 損害賠償請求事件、令和6年(ワ)第70610号 損害賠償請求反訴事件)。秘密管理性が認められるには、たとえ就業規則で外部への漏洩を禁止していたとしても、フォルダの閲覧権限を付与すると共に「社外秘」とフォルダに付す必要がある事例です。

(要旨)被告は、本件パートナーフィーを含むパートナーフィーについて、本件パートナーフィー一覧として整理し、被告のサーバー内の社外秘との名称が付されたフォルダに格納しており、また、従業員の業務内容に応じてサーバー内のフォルダごとに閲覧権限を付与し、就業規則において職務上知り得た機密事項(個人情報を含む)の外部への漏洩を禁止していたことから、本件情報1には秘密管理性が認められる旨主張し、証人Fi及び被告代表者も同旨を供述ないし陳述する。しかしながら、証拠(乙18)によれば、本件パートナーフィー一覧は右肩に「2023.2.14 UPDATE」と記載されており、令和5年2月14日時点で存在していたことは認められるものの、令和3年時点においても存在していたと認めるに足りる証拠はなく、また、被告がサーバー内のフォルダに閲覧権限を付与していたこと及び社外秘との名称が付されたフォルダが存在していたことを認めるに足りる証拠もない(この点に関する証人Fi及び被告代表者の供述ないし陳述は、具体的な裏付けを欠くものであって、信用することができない。)。かえって、前記認定事実⑵イのとおり、本件パートナーフィーは、Ciにより毎月集計され、被告の営業チームの従業員等に共有されており、共有する際のメールや支払に係る業務稟議書に営業秘密である旨の表示がされていなかったこと、本件パートナーフィーの月ごとの算定は、Ciが本件システムの情報を前提として算定しているところ、前記認定事実⑵アのとおり、本件システムには、被告従業員のうち現業社員以外の約8割の従業員がアクセス可能であったことが認められる。さらに、本件システム内において本件パートナーフィーに関する情報が他の情報と区別して営業秘密であると表示されていたことを認めるに足りる証拠はなく、その他、本件情報1について具体的な管理方法を認めるに足りる証拠はない。そうすると、たとえ就業規則において職務上知り得た機密事項(個人情報を含む)の外部への漏洩が禁止されていたとしても、営業秘密であると明示されていない本件情報1について、秘密管理していたとは認められない

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