立体商標の識別力

立体商標における商品等の形状は、通常、自他商品の識別機能を果たし得ず、商標法第3条第1項第3号に該当するものと解されます。今回は、文字と図形が入った立体商標の登録が認められ、有効審決に対して審決取消訴訟でも有効と判決された事例を紹介します(令和7年(行ケ)第10042号 審決取消請求事件)。このように、立体図形だけでなく文字が入った立体商標であれば登録が認められる可能性があります。

(要旨)本件商標を構成する文字及び図形は、埋金法で必ず用いられるものではなく、指定商品及び指定役務に係る取引において商品の品質、用途、その他の特徴又は役務の質、役務の提供の用に供する物、その他の特徴等を表示記述するものとして一般に用いられている実情もない。また、本件商標の形状の上面、左側面、右側面の文字及び図形は、識別力を有しており、立体商標全体としても自他商品及び役務識別力を発揮している。そうすると、本件商標は、指定商品及び指定役務について商品の品質、用途、その他の特徴又は役務の質、役務の提供の要に供する物、その他の特徴等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものとはいえず、商標法3条1項3号に該当しない。

本件商標は、商標法3条1項2号、3号に該当せず、同項1号、4号、5号に該当すべき事情もない。そして、本件商標が、登録審決の時点で、埋金法に係る商品又は役務の取引において、特定人の独占使用を認めるのを公益上適当としないとか、一般的に使用される標章で自他商品及び役務識別力を欠くために商標の機能を果たし得ないとはいえない。よって、本件商標は、商標法3条1項6号に該当しない。

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