識別力が否定された事例NO.13

拒絶査定不服審判で商標法第3条第1項第3号の識別力がないとして拒絶審決が出された審決取消請求事件を紹介します(令和7年(行ケ)第10004号 審決取消請求事件)。「広く一般的に使用されている業界用語」+「普通名称」を結合商標として識別力を主張した場合でも、識別力の判断は厳しいです。

・「ダイレクトマーケティングエージェンシー」の文字を標準文字で表してなる商標について、第35類「広告業等」及び第42類「機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計等」に属する指定役務

(要旨) (1) 原告は、「ダイレクトマーケティング」「マーケティング」及び「エージェンシー」の語が多義的であるから、「ダイレクトマーケティングエージェンシー」という語全体の意味合いが更に多種多様なものになるため、本願商標に接した取引者及び需要者が、その役務の直接具体的な質を直接的に特定することができない旨を主張する。しかし、前記1(5)に判示したとおり、本願商標の構成文字の語義及び指定役務に関する取引の実情を踏まえると、本願商標である「ダイレクトマーケティングエージェンシー」は、「カタログ・ダイレクトメール・雑誌・テレビ・電話など各種のメディアを通じて、消費者に直接商品情報を提供する販売促進方法を業務とする又はそれに特化した代理店」といった意味合いを容易に認識、理解させるものといえるのであり、その意味合いが理解不可能なほどに多種多様であるということはできず
(2) また、原告は、「ダイレクトマーケティングエージェンシー」との語は、業界紙や専門メディアにおいて一切使用されていないことから、業界において役務の品20 質を直接的、かつ、具体的に表示するものとして、取引上一般には使用されていない旨を主張する。しかし、「ダイレクトマーケティングエージェンシー」の語に関連する取引の実情として、「ダイレクトマーケティング」業務を行う事業者が多数存在する実情にあることは、前記1(4)ウに認定したとおりであるから、この語が取引上一般には使用されていないということはできない(原告が主張するウェブ検索によって「ダイレクトマーケティングエージェンシー」の語が表示されなかった(甲4の1~6)からといって、上記の取引の実情が否定されるわけではない。 )。

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