識別力が否定された事例NO.18
拒絶査定不服審判で商標法第3条第1項第3号の識別力がないとして拒絶審決が出された審決取消請求事件を紹介します(令和5年(行ケ)第10116号 審決取消請求事件)。英文字を空白一文字分間に挟んで並べた商標は、造語として認められず識別力が否定されました。
(要旨)原告は、日本における取引者・需要者にとってチベットという地名は必ずしも著名ではなく、チベットトラという亜種(分類)も存在しないなどとして、本願商標は「Tibet Tiger」という造語として認識される旨主張する。しかし、本願商標の構成中の「Tibet」の文字は「チベット(中国南西部の自治区)」を意味する英語であり(乙1、3) 「Tiger」の文字は「トラ」を意味する英語であって(乙2、4)、これらはいずれも平易な英単語として我が国においても一般に親しまれている。これらの文字を空白一字分間に挟んで並べた本願商標は、構成全体として「チベットのトラ」ほどの意味合いを容易に理解、認識させるものと認められ、その旨をいう本件審決の判断に誤りはない。日本の取引者・需要者にとってチベットという地名が必ずしも著名でないことを認めるに足りる証拠はなく、また、チベットトラという亜種(分類)が存在しないことは上記認定を妨げるものではない。