識別力が否定された事例NO3

拒絶査定不服審判で商標法第3条第1項第3号の識別力がないとして拒絶審決が出された事例3件を紹介します。指定商品の一部で品質表示として自他商品識別機能を有さないと判断し、指定商品の他の一部で品質誤認であるとした論理構成が参考になります。

(1)「水膜UV」の文字を標準文字として第3類「口臭用消臭剤,動物用防臭剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,香料,薫料,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品とした事例

本願商標をその指定商品中「化粧品」に使用する場合、これに接する取引者、需要者は、「肌に水のような膜を形成することで肌を保湿(潤い)し、かつ紫外線の防止効果を有する化粧品」という商品の品質を表示したものと理解、認識するにとどまるというのが相当である。
したがって、本願商標は、商品の品質を本願商標をその指定商品中「化粧品」に使用する場合、これに接する取引者、需要者は、「肌に水のような膜を形成することで肌を保湿(潤い)し、かつ紫外線の防止効果を有する化粧品」という商品の品質を表示したものと理解、認識するにとどまるというのが相当である。したがって、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記内容に照応する商品以外の「化粧品」に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。

(2)「潤い肌ケア」の文字を標準文字として第5類「薬剤,医療用試験紙,医療用油紙,医療用接着テープ,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,綿棒,歯科用材料,おむつ,おむつカバー,はえ取り紙,防虫紙,乳幼児用粉乳,サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品,栄養補助用飼料添加物(薬剤に属するものを除く。),人工受精用精液」を指定商品とした事例

「潤い肌ケア」の文字からなる本願商標は、その指定商品中「薬剤,サプリメント」に使用された場合、「潤い(うるおい)のある肌(の状態)にするための手入れ用の商品」を表示するものとして、取引者、需要者に認識、理解されるといえるものであるから、本願商標は商品の品質を表示するものというのが相当である。したがって、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記内容に照応する商品以外の「薬剤,サプリメント」に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当に該当する。

(3)「スティックベジ」の文字を標準文字として第31類「野菜,果実,生花の花輪,釣り用餌,ホップ,食用魚介類(生きているものに限る。),海藻類,糖料作物,麦芽,あわ,きび,ごま,そば(穀物),とうもろこし(穀物),ひえ,麦,籾米,もろこし,飼料用たんぱく,飼料,種子類,木,草,芝,ドライフラワー,苗,苗木,花,牧草,盆栽,獣類・魚類(食用のものを除く。)・鳥類及び昆虫類(生きているものに限る。),蚕種,種繭,種卵,漆の実,未加工のコルク,やしの葉」を指定商品とした事例

本願商標をその指定商品中「野菜」に使用する場合は、これに接する取引者、需要者をして、「(形状が)棒状の野菜」という商品の品質を表示したものと認識、理解させるにとどまるというのが相当である。したがって、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、本願商標を「野菜」以外の商品に使用するときは、その商品があたかも「野菜」であるかように、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です