識別力が肯定された事例NO10

拒絶査定不服審判で商標法第3条第1項第3号の識別力があるとして拒絶査定が覆された貴重な審決事例を紹介します。識別力がないという審決が多い中、「希望者の注文に応じて、3D(三次元)に加工すること」を意味する「3DPOD」の文字が指定商品及び指定役務を取り扱う業界において取引上一般に使用されている事実を発見できないとして識別力が認められました。

・「3dpod」を標準文字とした商標として、第7類「金属加工機械器具等」第19類「建築用又は構築用の非金属鉱物等」第36類「預金の受入れ等」第37類「建設工事等」第40類「金属の加工等」第42類「気象情報の提供等」を指定商品、指定役務とした事例

指定商品及び指定役務を取り扱う業界において、「オンデマンド3Dプリントサービス」「3Dオンデマンド印刷」「プリントオンデマンド(POD)」等の使用例はあっても、「希望者の注文に応じて、3D(三次元)に加工すること」の意味を表すために「3DPOD」の文字が取引上一般に使用されている事実は発見できなかった。そうすると、本願商標が、「スリーディメンション。三次元。」の意味を有する「3D」の語(「デジタル大辞泉」小学館)の小文字表記と「print on-demand」の略であって「オンデマンド印刷。希望者の注文に応じて書籍などを印刷・製本して販売する出版形態。」の意味を有する「POD」の語(前掲書)の小文字表記とを結合してなるものであると直ちに認定することはできず、また、「希望者の注文に応じて、3D(三次元)に加工すること」の意味を一般に認識させるものと認定することもできない。してみれば、本願商標は、その取引者、需要者によって、商品の品質・用途、役務の質・提供方法を表示するものと一般に認識されるとはいえず、全体として一種の造語として認識、把握され、自他商品・役務の識別標識としての機能を果たし得るものと認定、判断するのが相当である。

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