識別力が肯定された事例NO5
識別力がないとして拒絶査定されて審決で維持される事例が相次いでいますが、拒絶査定不服審判で商標法第3条第1項第3号の識別力があるとして拒絶査定が覆された審決事例を紹介します。識別力がないという審決が多い中、造語であるとして識別力を認められた点が参考になります。
・「モレナイガード」の文字を標準文字として、第21類「ペット用トイレ」を指定商品とした事例
本願商標は、「モレナイガード」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は同書、同大、同間隔にまとまりよく一体に表され、これから生じる「モレナイガード」の称呼も無理なく一連に称呼できるものである。
また、本願商標の構成中の「モレナイ」の文字が「漏れる」の否定形である「漏れない」を片仮名で表したものと理解し得るとしても、「攻撃や危険から身を守ること。また、そのためのもの。防御。」を意味する「ガード」の文字と結合した「モレナイガード」の文字は、一般の国語辞書等に載録がない造語といえる。
そして、当審において職権をもって指定商品に関連する分野での取引実情を調査するも、原審で示したように排泄物が漏れにくいことをうたった商品は存在するものの、そのような商品を「モレナイガード」や「漏れないガード」と称している事例は見当たらず、また、取引者及び需要者が、「モレナイ」と「ガード」の文字を組み合わせたものを、商品の具体的な品質等を表示したものと認識するというべき特段の事情も発見できなかった。
そうすると、「モレナイガード」の文字については、各語義をつなげて「漏れないような防御」ほどの抽象的な意味合いを暗示させる場合があるとしても、本願商標の指定商品の取引者及び需要者によって、商品の具体的な品質を表示するものとして一般に認識されるとはいい難く、むしろ、特定の意味合いを認識させることのない、一種の造語として認識、把握され、自他商品を識別する機能を果たし得るものと判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、その指定商品の品質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標とはいえず、かつ、商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標ということもできないから、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。