識別力が肯定された事例NO7

今回も、拒絶査定不服審判で商標法第3条第1項第3号の識別力があるとして拒絶査定が覆された貴重な審決事例を紹介します。識別力がないという審決が多い中、指定役務との関係で役務の質を表示したものと認識されないとして識別力を認められた点が参考になります。

・「カメ学」の文字を標準文字として、第41類「カメラ撮影に関する技芸・スポーツ又は知識の教授等」を指定役務とした事例

本願商標は、「カメ学」の文字を標準文字で表してなるところ、「カメ」の文字は「カメ目の爬虫類の総称」等を意味する「亀」の読みを片仮名で表したと容易に理解されるものであり、「学」の文字は「学芸。学問・芸術の総称。」等(いずれも出典は「広辞苑 第七版」株式会社岩波書店)を意味する語であるから、その構成全体からは「爬虫類の亀に関する学問」ほどの意味合いを容易に認識し得るものである。しかしながら、前記2のとおりに補正された指定役務(以下「補正後の指定役務」という。)との関係において、本願商標は、役務の質を表示したものと認識、把握されるとはいい難いものである。
また、当審において職権をもって調査するも、補正後の指定役務を取り扱う業界において、「カメ学」の文字が、役務の質を表示するものとして、取引上一般に使用されている事実は発見できず、さらに、本願商標に接する取引者、需要者が、当該文字等を役務の質を表示したものと認識するというべき事情も発見できなかった。そうすると、本願商標をその補正後の指定役務に使用しても、役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標とはいえず、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものということもできない。

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