識別力が肯定された事例NO8
今回も、拒絶査定不服審判で商標法第3条第1項第3号の識別力があるとして拒絶査定が覆された貴重な審決事例を紹介します。識別力がないという審決が多い中、まとまりの良い造語であるとして識別力を認められた点が参考になります。
・「「KAJU-HI」の欧文字と「カジューハイ」の片仮名を上下二段した文字商標として、第33類「果汁を使用したハイボール」を指定商品とした事例
本願商標は、別掲のとおり、「KAJU-HI」の欧文字と「カジューハイ」の片仮名を上下二段にそれぞれまとまりよく書してなるところ、これらの文字は、いずれも一般的な辞書類に載録された既成の語ではないことから、本願商標全体として、特定の意味合いを認識させることのない、一種の造語として認識、把握されるものといえる。そして、当審において職権をもって調査するも、本願の指定商品を取り扱う分野において、「KAJU-HI」及び「カジューハイ」の文字が、商品の具体的な品質を直接的に表示するものとして一般に使用されている事実は発見できず、そのほか、本願商標に接する取引者、需要者が当該文字を商品の品質を表示したものと認識するというべき事情も発見できなかった。そうすると、本願商標は、特定の意味合いを認識させない造語というべきものであって、これをその指定商品に使用しても、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標とはいえず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであり、かつ、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものということもできない。
