識別力が否定された事例

拒絶査定不服審判で商標法第3条第1項第3号の識別力がないとして拒絶審決が出された事例5件を紹介します。単なる品質表示として自他商品識別機能を有さないと判断した論理構成が参考になります。

(1)「紅白亀甲餅」の文字を標準文字として第30類「餅」を指定商品とした事例

本願商標をその指定商品に使用しても、それに接する取引者、需要者において、その商品が「紅色と白色の(セットの)、亀甲形又は亀甲模様の餅」であるという、商品の品質を表示したものと理解されるにとどまり、自他商品の識別標識としては認識されない

(2)「飲むひよこ豆」の文字を標準文字として第29類「ひよこ豆ミルク」等を指定商品とした事例

本願商標「飲むひよこ豆」は、構成全体として、「飲めるようにしたひよこ豆」ほどの意味合いを容易に認識させるものといえるから、これを、その指定商品であるミルク、コーヒー飲料などの飲料に使用をしても、これに接する取引者、需要者は、当該商品が、「飲めるようにしたひよこ豆を使用した商品」、「飲めるようにしたひよこ豆を主原料とした商品」であることを理解するにとどまるから、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示するにすぎない

(3)「VAPOR RECOVERY HOSE」の欧文字を標準文字として第17類「プラスチック製ホース」等を指定商品とした事例

本願商標の各構成文字の意味と、「VAPOR RECOVERY」の欧文字の片仮名表記である、「ベーパーリカバリー」の文字が、「気化した物質(蒸気)の回収」ほどの意味合いで使用されている事実があり、加えて、本願商標の片仮名表記である、「ベーパーリカバリーホース」の文字が、「気化した物質(蒸気)を回収するためのホース」を表す語として使用されている事実があることに照らせば、本願商標は、全体として「気化した物質を回収するためのホース」ほどの意味合いを容易に認識させるものである

(4)「CASK AGED TEA」の文字を標準文字として第30類「バーボン樽で熟成した茶」等を指定商品とした事例

「CASK AGED TEA」の文字を標準文字により表してなるところ、その構成中、「CASK」の文字は・・・その構成全体からは「樽で熟成した紅茶、お茶、茶の葉」の意味合いを看取し得る。「CASK AGED TEA」の文字からなる本願商標は、その指定商品中「バーボン樽で熟成した茶,シェリー樽で熟成した茶,ビール樽で熟成した茶,ワイン樽で熟成した茶,日本酒樽で熟成した茶,ウイスキー樽で熟成した茶,その他の茶,茶飲料」に使用された場合、「樽で熟成させた茶若しくは紅茶」、「樽で熟成させた茶葉を使用した茶飲料若しくは紅茶飲料」を一般的に表示するものとして、需要者又は取引者に認識されるというものであり、熟成させる樽の使用状況や茶葉の具体的種類等を詳細に論じるまでもなく、本願商標は、商品の品質を表示するものというのが相当である

(5)「血糖コーチング」の文字を標準文字として第9類「ダウンロード可能なコンピュータプログラム」等を指定商品とした事例

上記構成からなる本願商標は、その構成文字全体として「血糖について指導・助言をすること」ほどの意味合いを容易に認識させるにとどまるというべきである。よって、本願商標は、これをその指定商品及び指定役務中、「アプリケーションソフトウェア(コンピュータプログラム)」等の第9類の商品に使用するときには、これに接する取引者、需要者をして、「血糖について指導・助言するためのアプリケーションソフトウェア(コンピュータプログラム)」であること、すなわち、商品の品質、特徴等を簡潔に表示したものと理解、認識するにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を有するものとはいえず、自他商品の識別標識としての機能を有さない文字からなる商標といわざるを得ない

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