進歩性の動機付けNO2
無効審判請求を不成立とした審決の取消訴訟(令和 5年 (行ケ) 10143号 審決取消請求事件)を紹介します。引用発明の技術的意義を失わせる構成を本願発明が備えていれば、動機付けなしと判断される事例です。
このような上下方向に沿った長尺状のハンドルの安全に掴むこと ができるグリップ部の位置を使用者に認識させることも想定されていない。甲8発明のコ字状のパイプを、上下方向に沿った長尺状の手押部材 とすることは、甲8発明の技術的意義を失わせるものであるから、この ような動機付けがあったとは認められない。運転台車の4隅に位置する上下方向に沿っ た長尺状の手押部材は、どの位置を掴んだとしても周囲の物体との間で 手が挟まれるという危険性を有するから、甲8発明のハンドルをこのよ うな形状に変更することには、むしろ阻害要因があるというべきである。